「早春スケッチブック」

October 15, 2012

善人め!

「この、善人めっ!!」

って、怒鳴られたら、どうします?

山田太一さんの名作と言われている連続テレビドラマ
『早春スケッチブック』を観ることにしました。

1983年、29年前の作品です。

ず〜っと気になってはいたけど、
時間がないと思い続けて手を出しませんでした。

それが、この忙しい時期に何を血迷ったか・・・
いろんなきっかけもあり、
多分、やっと機が熟したのでしょうか、
今、1話と2話を観たところ。

定期的にDVDを借りて観ていこうと思っています。

もう、のっけから面白いです・・・さすがです・・・

ストーリーの説明などは省きますが、

1話目にこのドラマの確信をつくようなやりとりが
酔っ払いの山崎努と学生の鶴見辰吾の間で交わされます。

しごくまっとうなことをしようとする鶴見辰吾に

「善人めっ!!」

と、山崎努が切り込むのです。

「気の小っちゃい、善良で、がんじがらめの正直者めっ!!」

大学受験を控えた17,8の子供が、大の大人にこんな風に怒鳴られたら・・・

それがまたその善良な道を良しとして育ってきた、
世間一般にはとても良い子にみられる学生がです・・・

その後の人生に大きな影響を残すと思います。

いいなー、このシーンっ!!
力のあるシーンです。



今の自分にもドキッとさせられるところもあり、
何だか胸も詰まります。

そして、こういうコミュニケーションの形って、
今はあまり遭遇しないなぁ・・・と、なんだか懐かしくなりました。

若い頃は、上司のようなおじさん連中に
ただ因縁つけられているような気がして
ウンザリしていたものです。

ほんと、まぁ、ただの因縁だったりしてはた迷惑なこともあるのですが・・・

でもその中に、

お互いの柔らかいところをこじ開けて、
弱い部分を揺さぶり合うような形でしか
成立しないコミュニケーションも
確かに存在するし、

そういう人との関わり合い方も、
きっと、時には必要なのでしょう。

実際そんな場面に自分が出くわすと
かなり落ち込むし、嫌な気分が続くものですが・・・

でも、

人間誰でも、時にはガツンとやられていい。

その傷が癒える頃には、
その部分は、
きっと筋肉痛から回復するときの筋肉のように、
前より強くなっていると思うから。


このシーンはまだまだ続き、

自分の気持ちに正直に生きたいと言う鶴見辰吾に
山崎努が、またまたこんなことを言います。

「自分の気持ちに正直だなんてのは

一番楽な生き様よ。

自慢たらしく言うことじゃねぇ。


試しにあんた、嘘で固めて生きてみな、

気が弱けりゃ強いふり

バカは頭のいいふり

鈍感は敏感のふり


嘘八百で生きてみな。

こいつは大変だぞ、

正直に生きるよりよっぽど鍛錬を必要とする。

四六時中緊張してなきゃボロが出る。


とても善人にゃ、務まらねぇ」


こういう台詞にドキッとするのは、

自分の中の深いところに存在している偽善が、

突かれるからなのでしょう。




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moriokayoga at 22:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0)