January 05, 2009
映画「ブラインドネス」

「ブラインドネス」は全世界の人が盲目になってしまうというちょっと寓話のような、それでいて恐ろしいパニック映画。
「もし目が見えなくなってしまったら?」という問いは、誰でも一度はしたことがあるのではないでしょうか?
この映画は、その『見えない』ことの不自由さと恐怖に、全世界の人が盲目になることで、『誰にも見られていない』という、ネット社会の匿名性にも似た無秩序でモラルのない状態になっていくさまが描かれていて、人間のエゴの怖さを突きつけられます。
ホント、怖い。
でも怖いのは、そういうものが自分の中に確実にあると思うから。
普段のモラルのある行いが、本当に自分の尊厳、信念からやっているのか、又は、見られているから・・・という監視性のもとで、どうにか保てているのか、見ていると揺らいできます。
映画では、感染症の疑いがあるということで、最初になっていった人たちがどんどん強制的に隔離されていくのですが、その収容所が、
どんどん、どんどん、汚れていく。
目が見えないから掃除も難しいってこともあるだろうけど、みんなが「関係ねぇや」って感じで、ゴミ溜めのようになっていく様って、とっても怖いです。汚れと共に、気持ちも荒んでいく感じが・・・。
私もマンションの管理をしているので、とんでもないゴミの出し方する人とか・・・エントランスでお酒の一升瓶を割ったらしいのですが、その破片と、液体が床に散らばっているのを、そのまんまにしていく人とか・・・今の社会でこうなんですからトホホです。
映画は、『見えない』ということで、ひとりでは生きていけないということを、まざまざと見せてくれる。なのに、人は協力しあうどころか、匿名性を持って、モラルを失っていく。
今、私は、『見えてる』と思っている(思い込んでる?)世界の中にいて、自由に生きてるような顔をして、モラルをもっているような顔をして、それでいて、それは、『見られている』という監視されている意識の上に成り立っているものであったとしたら・・・・。
本当に『見えている』とはどういうことなのでしょう・・・。
見えないものを見る力が欲しい。
愛。勇気。やさしさ。思いやり。感謝。尊厳。
そして人間は素晴らしい、世界は美しいと信じています。
ガザで戦争の止まない夜に。