October 23, 2011

生まれたことを祝福する日

この週末も被災地へ。
いろんな方との新しい出会いがありました。

出会いって、こんな素敵な人がいるんだって気づくことであり、
気づくことって感動すること、
感動すると元気になる。
そういう心の仕組みを知った日でもありました。

そもそも10月22日の土曜日に大槌に行ったのは、
大きな目的があったわけではなく、
濱ちゃんのお誕生日だったので、
また久しぶりに大槌を訪れてみたいと思った次第です。

雨が降ると大槌町は水たまりでいっぱいでした。
全体がうす〜く、地盤沈下しているよう。
前までは壊れながらも建っていた建物もほとんど壊され、
どんどん目印がなくなりどこかわからなくなっている自宅の前で
濱ちゃんはお花を手向け、私と考子さんは見守ります。

近くでは一組のご夫婦が佇んでいました。
みんなこうして何もなくなった場所に
何度も足を運んでいるんだと思う。

その後は仮設住宅に移った濱ちゃんの親戚の方や
ご両親の友人の方を探すお手伝い。

点在している仮設住宅は、個人情報保護のため??
名前などが書かれた地図などはいっさいなく、手ががりは番号のみ。
同じような建物が並んで目印もつけづらく、探すのは結構大変です。
せめて仮設住宅団地ごとの名前と番号の俯瞰図があれば良いのに・・・。

先日土砂崩れがあってブルーシートで覆われている山沿いの道を
行きつ戻りつ探しました。

仮設ごとの集会所がどうなっているのか、何かする場合、
どのくらいの広さだったりするのか見てみたかったのですが、
雨足も強くあまり考えていたようには動けなく・・・
でもそのかわり、濱ちゃんのご親戚の方にお呼ばれされて、
初、、
仮設住宅にお邪魔しました。

大槌町で魚屋さんを営んでいたNさんと奥様。
お菓子やお茶を何度も出していただき、
あの時のことのもお話していただきました。

山の上から大きな黒い雲ような津波が押し寄せて、
まばたきした瞬間に、それまであったものが一瞬にして持って行かれたこと、
その引きの早さがものすごかったこと。

その後すぐ起こった火事の恐ろしさ、
ガスボンベが爆発するときの地面を揺らすような轟きと爆音。
避難していたみんなもあっちの情報、こっちの情報で右往左往しながら
火がそこまできている恐怖感と、その後の寒さに震えていたこと。

寒さには本当に堪えたとおっしゃってました。

その後、自分のトラックでガソリンの続く限りそばにいた人達を
ピストン移動で運んだこと。
自分は誰を乗せたか覚えてないのに乗った人は決して忘れず、
会うたびに命の恩人と言ってくれて
家に招かれたり、お酒を振る舞われたりすること。

何もなくなってしまった家の前に毎日行っては大声で泣いていたこと。

息子さんが迎えに来ても「嫌だ!、ここから動きたくない!」と
泣き続けていたそうです。

今でも頭がおかしくなったかもと思うほど
すぐに涙が出てきて困るそうです。

先日大槌であったお祭りを見に行ったときも泣いてしまうし、
どなたか歌手の方が訪ねて民謡を歌ってくれたときも
泣けて泣けてしょうがなかったとか。

避難所に入ってみんなでルールを決めた時、
率先して、水を流せない汚物の処理をやると手を上げたこと。
でもそれからすぐ、ご自身の両親の介護があり、
避難所を離れることになって恥をかいてしまったとか、
みんなと一緒に避難所で苦労できなかったことが今でも悔しいとか、
いろんなことを悲壮感なく、かえって私たちを楽しませてくれるように
面白おかしく話してくださいました。

そんなお話の中に、
Nさんの心の真っ直ぐさ、健全さ、素直さ、
そして今回の震災に際して取った行動のひとつひとつに、
(私がこんなことを言うのもおこがましいのですが)
なんというか、Nさんの人間性の高さを感じました。

お話を聞きながら、笑いながら、感動していました。

こんな風に、素晴らしい人達が、ひっそりと、しっかりと
この状況を受け止めながら暮らしているんだと思いました。

夜は遠野で濱ちゃんの誕生パーティ。
釜石からあやちゃんも駆けつけ、考子さんと4人で
『くいしんぼちから』へ。

ここは遠野では有名ないつも満員の人気の居酒屋さん。
濱ちゃん行きつけの店でもあり、楽しみにしていました。
持ち込みいいですよ、ということで
考子さんと合作のケーキも持ち込んで

ケーキ

♪ HAPPY BIRTHDAY ♪

ちからさんを入れての写真でも撮れてたらよかったのですが、いつもながら良い写真は撮れていません・・・。



でもここの「ちから」さん!

本当に、本当に、いい方で、
面白くて、シャイでもあるので、
きっといい方なんて言われるの好きじゃないと思うのですが、
最終的にはそうとしか言えないほどいい方です。
初対面で感動〜っ。
お店が人気なのも頷けました。

長いつきあいの濱ちゃんは、しっかりちからさんに愛されてましたね。

ゆっくりしっててね、ゆっくりしてってね、と言われ
7時半に入って、出たの3時。
いくらなんでもゆっくりし過ぎっ(汗)

最後は私達だけで、ちからさんもいろんな話をしながら
濱ちゃんを元気づけていました。

こんな人間関係があれば、何があっても大丈夫。

そう思わせてくれるちからさんの温かさが濱ちゃんを包んでいた。

そして私たちもご相伴に預かり、歓待を受け、最後は見送りまで・・・。

ちからさん、本当にありがとうございました。

そしてごちそうさまでした。



俺は人間が大好きだから。

裏切られっこともあっけど、

人間が大好きだから・・・。


明け方、ちからさんの言葉がこだまのように響く中、眠りに落ちました。 つづく。



moriokayoga at 21:51│Comments(0)TrackBack(0) 震災後のこと 

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